ゴゾ島内の某町に引っ越してきた。
引っ越し中、「頭のてっぺんから噴水の様に汗を噴き出す(更年期も相まって)→汗が沁みて目が開けられないのでおでこにタオルを巻く→ネジリ鉢巻きの鶴ちゃんが『ギンギラギンにさりげなく』をムサ苦しく歌う映像(古い。今の鶴ちゃんのキャラはイケオジ)が頭に流れる」と、疲れすぎてわけわからんな状態になりながらも、こんなにヘトヘトでも倒れない自分に感心。
驚きの値上げ率に引っ越しを考える
正直、5月中旬に大家(今となっては前の大家)の娘から送られてきた『賃貸契約更新に関する通知』を見るまでは、引っ越すつもりなど全くなかった(出ていけと言われれば別)。
ゴゾ島に来てから9年間住んでいたアパートメントは、築30年で常に何かが壊れているという問題はあったものの(なかなか直しにこないが、それは別にその大家に限ったことではない)、立地、間取り、ほぼ家具無し(ゴゾ島の賃貸は家具・器具付きが主流で、洗濯機から食器まで生活に必要なものは一通り揃っている場合が多い。スーツケースひとつで気軽に引っ越せるという利点はあるものの、すでに自らの家財道具やらなんやらが多い人にとっては『スペースの確保が難しい』という難点もある)などの点では申し分無く、今まで更新の度に上がっていった家賃(月額)も許容範囲内の額であった為、このさき多少家賃が上がったとしても、契約更新をお願いするつもりでいた(更新してもらえない場合はあるとしても)。
が、その通知に記されていた家賃を見て考えが変わった。多少の値上げでは済まされなかったのだ。なんと、前回の家賃から45%値上げの金額が記されていたのだ!しかも値上げの理由が『ここ数年のインフレ(これは理解できる)、近辺の家賃相場に適した金額(立地としては理解できるが、家具と器具が一通り揃っていてリフォーム済みのアパートメントならばの話のような・・・)、半年前に交換した水道の加圧ポンプが400ユーロもした為(なぬ?)』だという。
昨年の暮れ、わが家専用の水道加圧ポンプが壊れたのは確かだ。突然家中の水道水が出なくなったので大家を呼ぶと、水道の加圧ポンプが故障したので修理するとのことだった。が、結局直せずに買換えた模様。その買換えにかかった費用が400ユーロ・・・あれって私らが壊したという事になるのだろうか?そもそも9年前に越してきた時には既にそこにあった、それ以前いったい何年間使われていたかも不明なポンプ。まさか、私達がわざわざ加圧ポンプを蹴り上げたりバットで殴ったりして壊したとでもいうんかいな(汗)。水道の加圧ポンプのある場所は屋上にあるランドリールームのそのまた上。梯子をかけて登らなければたどり着けない場所。手すりも何も無い狭い場所なので、そんな所で暴れていたら落下して怪我をする可能性のほうが大だわよ。1000万歩譲って私らのせいにしたって、私たちがその400ユーロを払えば済むことじゃないのさ。って壊してないわトンチンカン!
兎に角、この家賃の値上げ率は考え物。
ここ数年マルタ島&ゴゾ島の家賃が上がり続けているのは確かだ。10年前と比べて平均45%も上昇しているという。が、うちの場合は4年前と比べて45%増し、9年前と比べたら2倍すなわち100%増しよ(汗)。
一応通知には「家賃額の交渉に応じる」と記されていたので、大家(75歳)がガス水道・料金の請求にやってきた時に35%~40%の値上げぐらいに抑えることは可能かどうかをチラッと訊いてみたところ、「その件はもう娘に任せているので娘と話してくれ。まぁ値引きするくらいなら誰にも貸さない方がましだがな・・・」と言われてしまった。そして大家の娘にメール(それ以外の連絡先は知らない)するも、全く返答なし。
「引っ越したい」という気持ちが強くなってくる。
賃貸契約が切れるのは8月末。契約を更新するのであれば遅くても7月中には契約書にサインしなければならない。それまでに新居が見つかれば引っ越す、見つからなければ45%UPの家賃で仕方なく契約更新(してくれればの話だが)するしかないという事で、新居探しをスタートした。
賃貸物件探しに苦戦
まずは、ゴゾ島にあるいくつかの「不動産屋のウェブサイト」やフェイスブックの「ゴゾ長期賃貸物件ページ」内で、自分たちが希望する条件に合った賃貸物件を探し始めることにした。
家賃月額予算の上限を決め、場所はゴゾ島内ならどこでも良し、「寝室3つ(1つは仕事場にする)/ バスルーム2つ / ネコOK / 車庫つき」は絶対で、できれば「家具なし」という条件で賃貸物件を検索をした。のちに「長屋か一軒家」という希望も追加した。
なぜ「長屋か一軒家」を追加したかというと、色々検索していくうちに「アパートメントに比べて一軒家の家賃はそれほど上がっていない」という印象を受けたから。更に「アパートメントの方が割高じゃないの!?」と感じることもしばしば。もっと言ってしまえば「プール付きの一軒家がそのくらいの家賃で借りれるの!?」と驚いてしまう事もしばしば(大豪邸は別として)。私的には、プール分の家賃が浮くならプール無しでOKだけど(あれば嬉しいが、貧乏性なので水道代を気にしてしまう)。
そして、この検索をしていくうちに更に分かったことは、予算云々にかかわらず「一軒家・長屋で車庫つき」という物件は希少だということ(汗)。車庫つきという条件だけで見れば、アパートメントの方が見つかる。アパートメントの場合、地下や一階部分が駐車スぺースや車庫になっていることが多いからだ。
しかしながら、気持ちは既に一軒家・長屋へと向かっている・・・でも、車庫つきは絶対(と、最近バイクを買った夫が譲らない)。
ため息をつきながらも毎日根気よく「一軒家・長屋で車庫つき」を探し続けた。
そうこうして行くうちに、不動産屋のウェブサイト上にいくつか気になる物件を発見したので、それら物件ページの内見リクエストフォームからメッセージを送信してみた。ゴゾ島生活での経験上、この手のメッセージへの返信はあまり期待できないと分かってはいたものの、送るだけ送ってみた。んで、案の定、一週間たっても(いまだに)返信無しだった(汗)。
9年前にゴゾ島で家探しをした時は(正確にはイタリアからゴゾ島の不動屋さんウェブサイトをチェックして内見リクエストのメールを送った)、すぐにメールの返信が来た。〇月〇日にをするためにゴゾ島へ行くと伝えると、リクエストしたアパートメント以外にも3軒の内見を用意しておいてくれた。恐らくあの頃は今と違って『借り手不足』状態だったんだろうなぁ。なにより運がよかったんだろうなぁ・・・と、過去を懐かしんでみたり。
やはり電話するのが手っ取り早いのだろう。が、なんとなく電話への苦手意識が出てきてしまい(弱気になるのはまだ本気ではない証拠)、とりあえず片っ端から不動産屋に足を運ぶことにした。
どの不動産屋も口をそろえて「今、そういった条件での物件探しは難しいですね(特に車庫)」と言った。が、「そこを何とか!」とお願いし、不動産屋3か所の賃貸担当者(A氏、B氏、C氏)とWhats App(ヨーロッパではチャットはWhatsAppが主流)で繋がることができた。
これでやっと、不動産屋に物件探しをサポートしてもらえる。
とはいうものの、その後もA氏、B氏、C氏からの連絡はほとんどなく、私が各不動産屋のウェブサイト上で見つけた気になる物件をWhats Appで送り、各担当者がその物件の大家に電話をして現在入居者募集中かどうかを訊くというやり取りが続いた。
不動産屋のウェブサイトを見ただけでは入居者募集中の物件かどうか分からない
私は、「ゴゾの不動産屋のウェブサイトというものは以前からこういうシステムだったのか?」また「現時点では世界的にこういったシステムが主流なのか?」については知らない。
が今回、殆どのゴゾの不動産屋ウェブサイト内で賃貸物件検索をしてみた結果、どこのウェブサイトにも共通していたのがコレ↓
まず検索結果としてたくさんの物件ページが出てくる(ここまでは良い)。が、よくよく見ると、各物件ページ内には『Available from 20xx/xx/xx(20xx年xx月xx日から入居可能)』という文字と年月日が記されている。この入居可能年月日は「現在の入居者と家主が結んだ賃貸契約が切れる年月日」を表している。すなわち、現入居者が賃貸契約を更新し続ければ入居可能年月日は未来へと延びる一方なのだ。そして困ったことに『Availabile Now(現在入居可能)』というキーワードからの検索はほぼ困難となっている(泣)。しかもしかも、そのウェブサイト上で現在入居可能と記された物件だからといって現在入居者募集と決まったわけではない。今まで住んでいた人が再び賃貸契約を更新してしまったかどうかは、不動産屋がその物件の大家に連絡して初めてわかるらしい。しかもしかもしかも、「あなたの所のウェブサイトで『Availabile Now(現在入居可能)』になってたこの物件を内見したい!」という人物が現れるまで、その物件の大家に連絡することは無いようなのだ!
話がくどくなったけど、そういう事なのよ。
とにかく面倒くさい。しかも、担当者が大家に連絡して答えが来るまでに毎回2~3日はかかる為、ついつい期待に時間を費やしその分ダメだと落ち込むの繰り返し(泣)。
で結局、この面倒くさいやり取りの末に内見できた家は1軒のみ(残念ながら契約はしなかった)。あとは、担当者C 氏がおススメする「おそらく希望の条件に近いアパ-トメント」を内見しに行ったのみ(こちらも契約しなかった)。
フェイスブックのゴゾ長期賃貸物件ページに載っている物件=現在・近々入居者募集中物件だった
色々検索したり不動産屋の担当者とやり取りしているうちに、現在入居者募集中もしくは近々入居者募集であることが確実な物件というのは、結局のところフェイスブックの『ゴゾ長期賃貸物件ページ』に投稿されているもので、その投稿者のほとんどが不動産屋の賃貸担当者である事に気付き始めた。賃貸担当者達は、何らかのきっかけで大家と連絡が取れて入居者募集中と分かると、まずはこのぺージに投稿していたのだ(自社のウェブサイトやフェイスブックぺージはそっちのけで)。
物件探しを始めた最初の時点で、このフェイスブックぺージにはあまり気になる物件が載ってないなぁとは思っていたけれど、まさにそのページが「ゴゾ2022年夏の空き賃貸物件情報のほぼすべて」だったとは(汗)。そりゃ見つからんわけだ。私達の希望条件に合った物件は、ほぼ無いに等しかったのだから。
新居探しを中断しようと決めたらあらびっくり
そうこうしているうちに7月半ばとなり、新居探しタイムリミットも間近。。。
40度の猛暑の中、物件探しに時間と気力を奪われるも、良い物件は見つからず。。。他のことには全く集中できず。
駄目だギブアップ
こんな毎日を続けていたら生活が成り立たなくなってしまう。
この夏に引っ越すのは諦めよう。
とりあえず45%の家賃アップでもいいから契約更新して(してくれれば)冬頃からまた新居探しを始めればいいじゃないか、と不動産屋の賃貸担当者A氏、B氏、C氏にその旨を伝える。
そんなこんなでA氏とB氏とのWhats Appやり取りはプツリと途絶えた。が、C氏に限っては以前以上に物件情報を送ってくるようになった(やめると言われてやる気に火が付いたのか?客を逃すわけにはいかぬと思ったのか?)
ただ、C氏が送ってくれた物件情報は私達の希望条件をかなり無視したものばかりで。。。果てには、大まかな説明も何もない写真が「ピラ~」と数枚送られてきた。写真には、ちょっとハリボテ感のある内装😅 の小さな裏庭がある一軒家が写っていた。うむ。で、家賃は?車庫は?部屋数は?バスルームの数は?ネコはOKなのか???あまりに情報不足な上、写真を見る限り内見したいほどの興味もわかなかったので、この家の写真には特に返事をしないでいた。
すると翌日、C氏からメッセージが
C氏:「あの家どうよ?(やり取りはフレンドリーに行われる)」
私:「う~ん、あまり?..かな...(それまで内見する気が無い場合はもっとやんわり断っていたが、この件は結構ストレートに断ろうとした)」
C氏:「えっなんで?だってあの家、君達の希望条件全部クリアしてるよ!」
私:「えっ?」
C氏:「寝室3つ、バスルーム2つ、ネコOK、車庫つき、それに裏庭とストレージ、あと部屋がもう2つあって、屋上やランドリールーム、物干し用テラスもあるよ!(なぜそんな大事な情報を送ってこなかった!いや、C氏の頭の中では送ったことになっていたのかも…)」
私:「ええっ!?ででっ、や家賃は?(きっと予算オーバな額であろう。。。)」
C氏:「XXXユーロ」
私:「ええええーー(予算内じゃん!)。すぐにでも内見させてください!」
内見に行って更にびっくり
内見に行った私と夫は、ただただびっくりしてしまった。
なぜなら、内見に訪れた家は、写真で受けた印象とは全く違う素敵なアンティークハウス(ハリボテではなく本物。写真写りが悪いのか?恐ろしく適当な写真だったのか…)だったからだ。マルテーゼタイルの床、マルタ十字のステンドグラス窓に憧れのアンティーク家具付き!当初は家具なしを望んでいたものの、この家にはストレージルームもあれば階段下に物置もある(ハリーポッターが押し込まれていた部屋的な)ので、使わない家具の収納には困らない。こんな良い感じに使い込まれたアンティーク家具ならただただウェルカム!写真ではものすごく嘘っぽく見えた石柱も(失礼)、全然嘘っぽくなかった(むしろ博物館っぽい)。
なにこの運命
引っ越し後に撮影した写真を数枚(やっぱりハリボテじゃんと感じる方もおるかと:汗)
↓
そして更なるびっくりが「眺め」だった。物件探しで不動産屋を訪れた時に「眺めにはこだわる?」と訊かれたのだが、車庫のことで頭がいっぱいだったので「眺めはどうでもいい(あるに越したこと無いけれど贅沢は言えない)」と答えた。が、どういうわけだか絶景な家に連れてこられた。屋上からは、街の向こうにダーっと続く青い定規のような水平線と、教会の円屋根がドーンと見える(おおっ!)。
内見が終わるころには、私も夫もこの家を借りる気で満々。2日後には、めでたく賃貸契約を交わすこととなった。
斯くして、すったもんだの新居探しが終了
新居となる家は諸々のメンテナンスが必要となる為(アンティークといえば聞こえは良いが、かなり古い)、入居できるようになるのは8月半ば。
それまでに、引っ越し業者を探したり荷造りしたり前大家に契約更新は無しと告げなければ等々、やらねばならぬことはあるものの、一時の骨休み期間が訪れたのでありました。
めでたしめでたし(その先、どんだけ汗をかくことになるとは露しらず。。。)
次回、『ゴゾ島内でお引越し2(退去編)』へと続く