昨年夏、私は愛猫のピオッポ18歳を病の末に亡くし、絶望的な悲しみに打ちひしがれていた。
涙というのは、何時でも何処でもこんなにも出続けるのか?という状況に、外出時でさえトイレットペーパー(もはやティッシュでは足りない)を持ち歩いていた。
秋が来て冬が過ぎ、泣く回数は減ったものの、心に空いた大きな穴は決して埋まらない。
猫は大好きだから、近所や公園にいる地域猫をナデナデしたり心配したりして過ごすけれど、「猫の里親になる」のは当分無理。ここゴゾにだって、引き取り手の無い犬猫ちゃんが沢山いるのは分かっている、でも…。
そんな日々が続いていた。のだが…
里親求む
3月始めのある日、ゴゾの動物保護団体のフェイスブックページで、とある投稿を目にしてしまったのだ。
「飼い主が死亡。里親求む!ティッピー 、メス猫13歳」
心がざわついた。
詳細を読んだところ、
- 今いるアパート (近所だ!)を早々に引き払わなければならない
- 故飼い主さんは外国人で、マルタに親族が住んでいない。
- 周囲の人々が交代で食事やトイレの世話をしているが、諸事情のため、飼える者がいない。
更に心がざわついた。
これって、ピオッポ存命中、私が一番心配していた状況ではないか!
うぅ、ソワソワ…
悩んだ末、家族と相談し、猫ちゃんの引き取り可能という旨のメッセージを、投稿主へ送った。
投稿のコメント欄は、「老猫なのに可哀想」「なぜ親族が責任を持って引き取らないのか!」等など、やや荒れ模様だったのでスルー(汗)。
早速、故飼い主さんの御子息から「引き取ってもらえれば嬉しい」との連絡があり、その翌日には我家へとやって来たティッピー。
アレヨアレヨな急展開
やって来たばかりのティッピーは、極度の緊張のためか、最初の数時間を毛の生えた漬物石の如く固まって過ごした(全く動かない)。が、ふとしたタイミングで膝の上に乗せて撫でてみると、突如液体化!「グーガーグーガー」音を立てながらリラックスモードへの切替え完了。その後は、ゴハンを食べおやつも食べ、ソファのアームに顎を乗せ、まったりと寛ぎだした。
よかった。もー遠慮などせず、好き勝手にしてっ!
私じゃ故飼い主さん代わりにはならないかも…だけど、あなたの奴隷ぐらいにはなれるからっ!(人の奴隷になるのは絶対にイヤ)
ティッピーは、とにかく撫でられるのが嬉しい様子。飯も好きだが、永遠に撫でられていたいらしい。私の「3時間連続ナデナデ」にも、飽きることなく応じた。
故飼い主さんは長く入院していたらしいからな。独りぼっちの時間が長かったのかな… 。
昨年亡くしたピオッポの写真を見る〜膝の上のティッピーを撫でる〜ピオッポを見る〜ティッピーを撫で….号泣。
色々な想いがグチャグチャになり、目から放水。
トイレットペーパーを手元に用意していなかったので、ティッピーの背中が私の涙でグショグショに…。ティッピーは、そんなことも気にせずに、相変わらず「グーガーグーガー」音を立てている。
こうして、「ティッピー13歳牛柄の女のこ」は、我が家の一員となった。
ちなみに、ティッピーは噛まない。絶対に噛んでこない。噛むの大好きカミ猫ピオッポと18年間生きてきた私にとって、自分の手・腕に噛み傷がないなんて、そんなの奇跡。
年齢詐称発覚!?
2週間が過ぎた頃、ティッピーが新しい環境にじゅうぶん馴染んできたのを見計らい、健診と情報収集(フレンドリー/かかりつけの獣医名/予防接種済 としか知らされていなかった:汗)のために、獣医のもとへと向かった(悲しいことに、ティッピー車内で失神しそうになる) 。
獣医の先生に事情を話し、健康面で気になる事(目やにがよく出る・後ろ脚が弱いのかジャンプする姿を見たことがない)を伝える。
診察台の上では案外落ち着いているティッピー。
しばらくして、ティッピーの 健診と過去情報チェックを終えた先生が一言。
「あのぉ…13歳というのは聞き間違えでは? 過去情報を調べた限り、ティッピーは2007年生まれの17歳。おそらく老で足腰が弱いからジャンプもしないのだと。。。あと、目やには、若い頃からアレルギーがある様なので、そのせいかな。塗り薬出しときますね… 予防接種はもうずいぶん前に受けているようだけど…老家猫だから無理に受けなくても大丈夫かと」
その場にいた私と夫、ポカーン。
ティッピー年齢詐称!! 13歳ではなく17歳 ! 4歳もサバを読んでいた…
アイドルかい(笑)
予防接種については、そんな答えをなんとなく予想していたけれど、まさかの年齢詐称(誤称?)…。
一応、聞き間違えではない事だけは伝えておきたいと思い、例のフェイスブック投稿を先生に見せたところ、
先生もポカーン。
「じゅ、17歳にしては健康な毛並みだなぁ、ティッピー…」と、ティッピーをナデナデしながら褒め称える先生&ただナデナデを喜ぶティッピー。
年齢詐称(誤称?)に驚いたものの、ティッピーの実年齢が判明してよかったと思う。間違えて高い場所に乗せてしまったり(ティッピーにとってはベッドも高所)と、変な無理をさせない為にも、知ることができてよかった。
私達としては、ティッピーが何歳であろうと幸せであればそれで良い。年齢詐称であれ誤称であれ不詳であれ、そこにティッピーを思う気持ちがあるのなら、それでいいと思う。
老若どの命が先に果てるかなど分からない。
とはいえ、やはり高齢であればある程、命の終わりを意識しないわけにはいかない。
ティッピーが故飼い主さんの所へ行くその時まで、うちで幸せに暮してもらえればと。
そう願うばかり。
ピオッポ
♀長毛。痩せ型の小顔。シュッとしている。雑種だが、見た目はグレーと白のターキッシュアンゴラ。ツンデレでプライドの高い女王様。何かと能動的。気性が激しく、やたらと噛む・引っ掻く・怒る。反面、甘えん坊の寂しがり屋。娘が赤ちゃんの頃はお守りに徹したり、病人には優しく寄り添うなどなど聖猫な面もあり。ノーブルなグリーン・アイの視線は常に「上から」。音楽ジャンルはデスメタル。ちゅ~るに全く興味無し。
ティッピー
♀短毛。特技は年齢詐称。ふくよかで耳の小さい、白にグレーの牛柄ハチワレ。丸くなった姿はまるで豆大福の様。ゆったりしていて優しい。ナデナデやブラッシングが限りなく好き。決して噛まない。嫌な時は舐めるだけ。なにかと受け身。とはいえ、左耳の先っぽが欠けていることから、過去にはやんちゃをしていたのかも?という噂もちらほら。スローで力強い動きからも、スケバン当時の片鱗が垣間見える。抱っこが大嫌い。車移動は嫌いすぎて命に関わるので禁止。クリクリなおめ目でこちらを見上げてくる姿は、まるでチワワの様。音楽ジャンルは童謡。ちゅ~る大好き、ちゅ~るしか勝たん。