娘が4年生になり、一ヶ月が過ぎました(ということは、9月の終わりに新学期スタート!?)
ゴゾの公立小学校に転校して来た2年前、娘は、英語もマルタ語も殆ど理解できない状態でした。プレッシャーを与え過ぎない為にと、一学年下の2年のクラスに入れてもらいました。家庭学習も、宿題以外は特に強要せずに過ごして来ました。
結果、娘は、プレッシャーに負けて泣くことも無く、知らずしらずのうちに学校に馴染むことが出来ました。
もはや、娘の第一言語は英語になってしまったのではないでしょうか。英語を話している時が、一番流暢で多弁になると思います(他の言語を話す時もガヤガヤうるさいけど)。最近は、こちらの英語発音をダメ出しするまでに成長してくれました。
先日も「お母さんは、year/jíɚ/ (年)とear/íɚ/ (耳)を同じ音で発音しているよ!」と、発音の特訓をしてくれました。正直助かります。だって、周囲の英語ネイティブのお友達は、こっちが頼んでもなかなか指摘してくれないだもん(優しいから気が引けるのでしょう)。もー、自分じゃ解からないんだもん!
一方、娘のマルタ語は、「理解出来てもうまく話せない状態」が続いています。学校の勉強にはどうにかついて行けているようですが、他のゴゾっ子達との会話は英語になってしまう為(皆、話せるから)、話し言葉としてのマルタ語が身につかないようです。それでも、理解して読み書きができるように迄成長しているんだなぁ...と、感心する毎日です。私のマルタ語レベル(言えても2~3フレーズ)なんて、引っ越して来た2年前と全く変っていませんからねぇ...(汗)。
娘のマルタ語会話が上達しないのは、マルタっ子の語学力が影響している
マルタ人は言語に長けています。日本語が達者な人にはなかなか出くわしませんが、公用語の英語はもちろん、イタリア語が出来る人達はごまんといます。その他、フランス語、スペイン語、ドイツ語、アラビア語など、数ヶ国語を操る人数もかなりのものです。
言語に強くない...という人でさえ、母語のマルタ語以外に英語で話せるわけです。ですから、外国人相手にマルタ語で話す機会なんてめったに無いのです。最低限英語です。マルタの人達にしてみれば「なぜ、外国人とマルタ語で話さなければならないんだ?面倒くさい...」ぐらいの感覚なのでは?外国人がマルタ語のみで話すためには、誰かにお願いしてマルタ語のみで話す機会を作ってもらうか、マルタ語しか話せないかなり年配のお婆ちゃん(たまにいる)を探す他には無いのかも。
マルタ人の日常会話は何語?子供も2ヶ国語を話すのか?
マルタ人の母語は、基本マルタ語です。ですから、マルタ人同士では、通常マルタ語で会話をします。しかし、マルタの公用語はマルタ語と英語。しかも、 マルタ語は世界的に見るとかなりマイナーな言語です。ですから、マルタの親や教育機関は、子供がかなり幼いうちから「使うための英語教育(バイリンガル教育)」を始めます。言語環境を分けるために、「外での子供との会話は英語」と、決めているマルタ人家族も少なくありません。
この様な環境の下、殆どの子供達は、幼稚園生の頃には普通に英語が話せる様になっています。マルタ語のテレビ放送も少ないので、幼児番組は英語、映画も英語(昔はそこにイタリアのテレビで放送される日本のアニメも加わっていた)...英語の音が聞き取れないわけが無い。
そして、小学生になると(5歳から)、国語同然の教科として英語の勉強をするわけです。わたくし内心、「えー、国語同然って本当ぉ?」と、疑わしく思ってい たのですが、娘の学校に通う英国人の生徒のお母さんに尋ねてみたところ、「英語の授業のプログラムは、イギリスの小学校とほとんど同じよ。ただ、たまに『そんな言いかた今はしないよ!』というのまで習ってくるけどねー。』」との事。マルタ語訛りについて訊いてみると、「ほとんどの先生がマルタ訛りの英語を話すわよ。でも、英語は英語だし、 発音として間違っているわけではないし。何より、ちゃんと教えることが出来るわけだから。」だそうです。
更に、中学生(11歳から)になると、第3外国語の勉強が始まるのです!
そりゃぁ、何ヶ国語も話せる様になるわな。
何語で授業?
一般の私立学校では、マルタ語以外の授業を英語で行っている事が多いようです。
しかし、公立小学校の場合は違います。先ず、言語学はその言語(英語は英語、マルタ語はマルタ語)で授業をします。そして、「算数や理科は英語で、社会や宗教はマルタ語で」のように、理系教科は英語、文系教科はマルタ語と、分けながら授業が行われているのです。完全バイリンガル授業です。
とあるマルタ人のお母さんに「物理は何語で勉強したの?」と、訊いてみたところ、「えー...何語だったっけ?」という答えが...。バイリンガル過ぎて、何語でどの教科を勉強したのか思い出せないそうです(汗)。
他にも、「マルタの人は、マルタ語で話していても勘定はかならず英語で言う。」ということについて気になっていたので、レジの方や会計士の方に質問してみたところ、「あらそうねぇ、なんでだろう?」と、疑問符つきの答えが返ってきました(汗)。「もしかして、子供の頃から算数を英語で勉強してきたからじゃないの?」と、私が言うと、「ほーっ♪」と、感心されてしまいました(汗)。
言語の引き出しが違うだけで、頭に入っている知識・教養は同じ!何語で習ったなんて気にしちゃいないと言うことですね。
マルタの学校制度
それでは、そんなバイリンガル国家の基盤となる学校教育制度について、ささっと見てみましょう。
マルタには、公立学校の他に私立学校も多数あります。
公立学校
幼稚園から大学・専門学校まで、学費は無料(ただし、外国人の場合は、自国とマルタ間で学費免除の協定が組まれている場合のみ無料)。しかも、大学生には助成金まで支給される!
私立学校
- 一般の私立学校
- 英語での授業を行っている。
- 質が高く、学費もやや高い。
- チャーチスクール
- カソリック教会運営の学校。
- 女子校・男子校に分かれている。
- 定員に限りがあるため、入学は抽選。
- 国の補助を受けているので、学費は無料。
- 毎年寄付金や設備費を払う必要がある。
- インターナショナルスクール
- マルタの都心部に数校あり。
- 英語での授業を行っている。
- 学費は他と比べて非常に高い。
マルタの学校段階
わたくし、マルタの小学校が6年間という事までは知っているのですが、中学校~高校については未だ曖昧なため(汗)、ささっと調べてみることにしました。
- 就学前教育
- 幼稚園(3~5歳)
- 初等教育・前期中等教育(義務教育)
- 小学校 (6年間、 5~11歳)
- 中学校 (5年間、11~16歳)
- 中学校卒業の年に全国統一テストの Secondary Education Certificate(SEC)が行われ、義務教育が終了。
- 後期中等教育(2年間、16~18歳)
- 進学高校(大学進学を目指す学校)
- MATSEC大学入学許可・中等教育終了証書の試験にパスすることで大学に進むことが出来る。
- 職業専門学校(就職を目的とした各種職業訓練専門学校)
- 進学高校(大学進学を目指す学校)
- 高等教育(数が限られてくるので、代表的な大学名・校名を書きました。)
- マルタ大学(マルタ唯一の国立大学。14学部)
- G.F. Abela Junior College(マルタ大学内にある短大)
- Malta College of Arts, Science and Technology(リベラルアーツカレッジ)
- Institute of Tourism Studies(観光専門学校)
- その他専門学校
など
学校段階の区分自体は日本のそれとほぼ同じですが、就学年齢や学年数が微妙に違います。
わたくし、マルタの中学・高校は、イタリア同様、中学校が3年間で高校が5年間(数年前から高校2年生までが義務教育化)だと思っていたのですが、全然違いました(汗)。中学校が5年間で高校が2年間ですね。
そして、なんと、小学校が始まる年齢は5歳なのです(コレはさすがに知っていた)。実際、小学1年生の子供達は物凄く小さいです。当初、「小学1年生というのは名ばかりで、幼稚園の年長さん程度のことをするのかなー」と思っていたら、普通に教科書を開いて勉強しているので驚きました。
こう見てみると、マルタの教育制度は、英国の教育システムに似ているようです。まぁ、長い間、英国領であった国ですからね。
娘の勉強量を増やす時期が来た
娘の通っている公立小学校では(恐らくマルタ全土の公立小学校でも)、1年生から3年生までの3年間、定期試験や通知表といったものがありません。試験が無いのは解かるとして、通知表が無いのにはびっくり( ゚д゚ )。一応、宿題は毎日ありましたけどね。
そして、遂に娘も4年生。年に2回の定期試験を受ける学年になってしまいました。
この2年間、「私達は、マルタ語の宿題を見てあげられないので...」を理由に、学童保育の先生に宿題チェックをしてもらっていました(結局、全教科)。
しかし、もう、これではいけない。学童保育の先生は、塾の先生ではない。宿題を手伝ってくれても、弱点強化まではしてくれない(一時間80セントのサービスだし)。
先ずは、かなりメチャクチャな自分の生活リズムを整えてから、娘の生活を変えなければだなぁ。