と、この題名に、「ちょっとあなた、イタリア嫌いじゃなかったの?行っても大丈夫なのー?」と、眉をひそめた方が殆どかと...。
そーなんですよねぇ...が、しかし、
「イタリア(自分が住んでいた環境、即ちモンツァ)での生活には戻りたくないけれど、旅行でイタリアを周遊する事は楽しいと思うし、これからも行きたい(特に南)。」
というのが本心だったりする。
「えっそうなの、僕は今のところ旅行でも行きたくないけどね。」と、旦那さん。彼のほうが重症です(汗)。
だってさぁ、長年イタリアで生活していたくせに、ナポリ・ソレント以外の南イタリアに行ったことが無いんだよー。
シチリア、カラブリア、プーリア、バジリカータ等々、見て周りたい場所は山とある。写真を見ながら「行きたいわぁ♪」と、うっとり。でも、観光限定ね。
南イタリアは、失業率、犯罪、教育、医療などに関する諸々の問題が多すぎて、生活する場所としては考えられないのが現状。
まぁ、よく考えてみれば、観光では行きたいけれど生活出来ない場所なんて、モンツァ周辺以外にも沢山あるのよ。例えばパリとか。あそこは観光で行った時の素敵がハンパ無いの街なので、絶対に住みたくない(笑)。生活してパリの現実的な部分を見て、「夢のパリ」をぶち壊したくない。
ほんと、住み心地の良い環境というのは、人それぞれ違いますからね。私にとっては、やはりゴゾが一番かしら♪
なぜモンツァの生活に戻りたくないのか
ゴゾの生活が心地良いので、後戻りしたくないというのもあります。でも、やはり、モンツァは住む場所として好きになれなかったんだなぁ。ゴゾに来る前に住んでいたアグラーテの方が、まだ住み易かったもの。モンツァから引越した日のブログを見たらこんな事が書かれていたわよ。
そもそも、10年前、漠然とイタリア脱出を提案し始めたのは旦那さんの方。出会った頃から「せめてトスカーナに移住したい...」が口癖だった彼は、ミラノ生まれのモンツァ育ちにして、それらの街が存在する「ロンバルディア州」が大嫌いな男。とにかく、気候と人が嫌いなのだそうです。
当初、「こんなヨーロッパの可愛い街で育っておきながら、なに贅沢言ってんだー?」と、思っていた私ですが、自分も住んでみて納得(-_-)。
モラルの問題です
「人に道を尋ねると、わざと(!?)間違った道を教えられることがある」とか、「市場で店主がニコニコしている場合は、ぼったくられる」とか、「些細なことでも謝らないで言い訳をする」...等々、意地悪なのか何なのか、情けなくなるレベルの何かがポンポン起こります。ネタとして話すと漫画のように笑える話も、現実に起こると笑っていられない...そんな事とでも言いましょうか。
また、皆さん普通に「タバコのポイ捨て」をします。そして、「なぜポイ捨てするの?」という問いに、「ポイ捨てしなきゃ、清掃の人が失業しちゃうじゃない。( ゚д゚ )」という言葉がサラッと返ってきます。「善良な市民」と認識されている一般の方から出て来る、普通の言葉です。
できる限り環境に順応しながら生きていたはずなんだけど、私の道徳心が「これは受け入れられない、従えない。」と、感じてしまう瞬間が結構あったのよねー。
だって私、結構モンツァの郷に従って生きていたと思うもん。
実際、人を待つことなんて何時間だって出来ますよ(来る事を期待せずに)。相手が何も言わずにドタキャンし音信普通になったとしても、次に顔を合わせた時は普通の顔して会いますよ。過去はチャラにしてあげますよ(ここで恐い顔をしようものなら「何で怒っているの?嫌なやつ(怒)」と、反対にキレられてしまいますからね。)。
でもね、「ゴミをポイ捨てしてあげているんだ」とか、「ドタキャンしたのは自分なのに、悪びれた態度でやって来て人のせいにする」みたいなのには、ウーン、根本的にダメと感じるのよね。
もちろん、モンツァの人全員が低モラルと言っているわけではないのよ。ただ、その数があまりに多いせいで、そうではない人達も諦めている、もしくは感じ無くなっている様な気がするのよ。
あとね、モラルといえば、これはもう犯罪枠なんだけど、歴史的地区へのスプレー落書き。あんなに素敵な街並みなのに、残念極まりない。落書き犯は、わざわざ綺麗に塗装した築500年以上の建造物(私物・公共物)を選んで汚しますからね。別に、地下道や人目につかない所になら落書きをしても良いと言っているわけではありませんよ。でも、ああも易々と歴史的中心地を落書きで埋め尽くすってどうなの?
ちなみに、うちの旦那さんは、落書き現場(30歳代ぐらいの大人3人)を目撃して警察に通報しましたが、警察はあっさりとこの件をスルーしました。落書きは、犯罪として認識されていないのだろうか?落書きもハトの糞も同じ扱いなのか??
臭い物に蓋
とまぁ、こんな環境の中で東洋人である私がターゲットにならない訳が無いってもんで、、、
もー、道端や店で、見ず知らずの人間にイチャモンをつけられた経験は数知れず...。スーパーの列で人の顔を見るなり「あんた、滞在許可証を持っているの?(いきなり不法滞在者扱い)」。娘と日本語で話していれば「イタリア語で話さないのならばさっさとこの国から出て行け(首をカットするポーズで)」。ハーフの娘を見て「かわいそうに(お母さんが東洋人で)」と、しつこく言ってくる見ず知らずのお爺さん。ただ道を歩いているだけで「チーナ(中国人への蔑称)」コール(ほぼ毎日)等々、もー書き出すと切が無くなってしまうのでこの辺りで止めておきます。
なにも大げさに書いているわけではありませんよ、生活していればこんなの四六時中ですから。こういう事は、自分がマイノリティになる環境に居れば、多かれ少なかれ経験する可能性のある事だと思いますし(世界各国、もちろん日本でも、学校でも、会社でも、ご近所でも、何処でも)。
そりゃ、この手の人達の態度は好ましいものではありませんよ。でもね、どんなに嫌なことを言われようと、それが自分の思っている事実と違うのだったら聞く耳を持つ必要など無いんです。いちいち大問題にしてそればかりを考えていたら、簡単に引きこもりになってしまうでしょ。
それより、私がうんざりしていたのは、善良な一般市民と呼ばれる方々からのコメント。
「差別なんてこの国には無いよ(僕は受けていないから無い)!なに被害妄想に陥っているんだよ。俺らは皆陽気だよ♪」とか、「命に別状がないんだから差別じゃない。(!?)」とか、「えっだって仕方ないよ。俺らにとっちゃ東洋人は皆中国人だもん。(だから、そこじゃなくて)」とか、「あいつはちょっと頭がおかしいんだ、我慢してやれ。(命令形...でもこの発言が一番マシ)」...等と、ほざきやがる言う。
「臭い物に蓋」なのですなぁ。ほんと、救われない気分になるんだよなぁ。日常生活って、その他大勢との共存を意味しますからねぇ。しかも、悲しいことに、うちの旦那さんも昔は上記の様な事をほざいてました(環境に麻痺していたのでしょう)...いい加減今は言わない(えない)けれど。
そりゃあ、20年位前に滞在したイギリスの片田舎の町でだって、人種差別的な目には遭いましたよ。10歳くらいの女の子に突然「GO AWAY!」と罵られたので見てみれば、その娘の両親が娘に「よく言った!」と褒めている( ゚д゚ )なんて事もありましたわ。でもね、あからさまにに差別的な人もいれば、そういうことを大問題視して「酷い!」と怒りを燃やしてくれる人達もいましたからねぇ。自分の事の様に怒ってくれる人がいると、それだけでスッキリしちゃうのよ♪
ちなみに、ゴゾでは、未だイタリアで受けたレベルの嫌な経験は無し。ちょっとびっくり。
ある時、バスの運転手さんに行き先を聞こうとしたら、「このバスじゃないっ」バタンと扉を閉められたことがありました。すると、私は怒っていないのに、周囲にいた人達が「なんて不親切なん だ!!」と怒りだして、私のためにバス情報を調べてくれました。その他にも、一時間ぐらい待っていたバスが満員で乗れなかったら、バス停の近所に住んでいるおばさんが「ついでだから」と、自分の車で送ってくれました(ミラノだったら恐くて乗れない)。車が道の真ん中で動かなくなってしまった時も、後にいた車の人が即座に 助けてくれたし...うーん、良い話ばかりじゃないか。書こうと思えばもっと出てくるよ、良い話。ゴゾの場合、万が一態度が悪い人がいると(といってもイタリア のレベルではない)、それを目にした誰かがフォローしに来るもんなぁ。そりゃ、もう、「臭い物に蓋」の生活には戻りたくないわ。
モンツァの良いところは病院
嫌いが先行しているモンツァですが、好きなところも幾つかあります。
中心地の街並み自体は可愛いと思うし(落書きが無ければ)、F1のサーキット場が入っているモンツァの公園も美しい。
そして一番の褒めどころは、イタリアの中でもトップレベルであろう国立病院。良い病院が近くにあるというのは重要です。
そもそも、イタリアの国民医療保険制度は、とてもよく出来た制度だと思います。治療や検査が必要と見なされた場合の医療費は、全額保険でカバーされます(その分税金は高い)。
ただ、場所によって、医療施設と医師のレベルに大きな差があります。ナポリの国立病院は「命が惜しければ行くな」とまで言われているレベル…。入院しても食事が出ないと聞きました(家族が食事を届ける)。モンツァの病院は、そのナポリの対極に位置します。
出産の時にモンツァの病院を利用させていただきましたが、最高でしたねぇ。病院主催のプレママコースも良かったし、病院の先生方も良かったし、施設も問題なかったし、ごはんも問題なかったし、血液検査から超音波、出産入院費など10ヶ月間の費用は全額保険でカバーですしねぇ。
今もゴゾの病院の側に住んでいますが、病院だけはモンツァの病院が恋しいかな(ムシのよい話だけどね)。
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